こんばんは。むく太郎です。
昨年、職場で展示会を開催した栃木県伝統工芸士・村田茂さんの最後の展示会に足を運んでまいりました。
最後といいつつ、またやってくれそうな予感しかありません。
それほどのパワーと作品のエネルギーがあった。
モノづくりをやるものとして。
そして、木工が好きなぼくとして。
伺いたいことや村田さんの心持ちをたくさん聞いてきたので、しっかり残していこうと思います。
日本が誇る曲物師
村田さんは栃木県認定の伝統工芸士です。
御年86歳。
新作ができたからと、招待状を頂いたのでご自宅の会場に行ってみたら、ものすごい人と作品の数々。
(木を高温のお湯につけ、曲げ加工し作り上げる曲線の美しい木工作品)
15歳の時に、木工の世界に入り、なんと師のところにはつかず、独自でこの世界観をつくってこられたとのこと。
数えきれないほどの木材に触れ、加工して作品をつくるにつれ分かったことがあると。
木心を知らないと、良い作品はできない。
「木心」について
(村田さんと作品)
何よりも大事にしているのは、材料を丁寧に扱うこと。
そして、木に対する自分の姿勢を正して接することが大事だとのこと。
人間同士、気心を知る。
木工のレジェンドは、「木心」を知れば、たいていうまくくっついたり、丸くなったり、はまってくれると言っていた。
全ての本質に当てはまるのではないでしょうか。— mukutaro(むく太郎⁂) (@wd_mukutaro) 2018年2月10日
以前の同様のお話を聞き、あまりに腑に落ちて、ツイート。
何事も1対1でのやりとりで、仕事、遊び、人間関係もすべて「相手への思いやり」すなわち「関心」をもって感謝で接することが非常に大切だと。
(夢に出てきたイメージを再現した作品)
上の作品は、昨年の展示会を終えた晩の夢に出てきたものだとか。
夢のイメージをそのままリアルに表現できたのは初めての経験と語る村田さん。雨が染みた痕も味になっています。
そんな村田さん、詩を詠むのもお好きでいいこと書いてあるんですよね。
これ、新作。
つい最近の気持ちだそうです。
なぜ、この言葉を書いたのかを訪ねると、
作品がイメージ通りにできなくて、悔しかった。
この気持ちは忘れまいと書きました。
一瞬で負けた気がしたよ。
妥協がお友達のようなぼくの近くには、妥協を許さぬ本物がいる。
もう、かっこよすぎる。
政財界や大物芸能人がこぞって、訪れる理由がわかりました。
一流のところには、一流が集まるんだなぁ。
靴ベラは、先端を割られてからのリメイク
こちらも展示されていた靴ベラ。
美しい木目が素敵で見とれていたら、
気づいた?
との声。
???。
あっ、先端つないである!
そうです。なんでも友人にこの靴ベラを貸してあげたところ、思いっきり先端を踏んで割ってしまったそう。
何やってんだと怒鳴りたかったけど、直したら逆に新しい味がでて、よかった。
全く違和感を感じません。
当たり前ですが、凹凸も無く手触りの最高にいい。
再び、「一流の仕事」を見て、鳥肌が立ちました。
道具だって、大切に。
さりげないメモには、すごいことが書いてある。
ー昭和20年頃より使っていますー
・・・。
半世紀を余裕でオーバーしている、もはや貴重な資料。
右の鉋にいたっては、これ。
自作の道具なんだって。
自分の手に合う道具は、つくるんだよ。
試行錯誤して、独自の世界観を生み出すには自分に合うものを選ぶ。
無ければつくる。
こうして、唯一無二のものが生み出されます。
そして、最後に見つけた逸品
ー船村さんに捧げるー
こちらもいろんな由縁がある作品。
船村さんとは、歌手・鳥羽一郎さんのヒット曲「兄弟船」を手掛けた、作曲家 故・船村徹さんのこと。
実はこの作品こそが、「兄弟船」のモデルとなった作品なのです。
詳しいことは控えますが、親交があり、アツく語っていました。
ただ、ディスプレイしている場所はご愛嬌ということで。
作品を見て、お話を聞き、ちゃっかりお茶をいただきながら、1時間ほど長居してしまいました。
どの世界でも大切なこと。
すごい人。
だけど、都合の悪いときは耳が遠くなるというお茶目な方。
なにより、夢を語る。
やりたいことがまだまだあって、本当に時間がたらないよ。
そう話して、今後のビジョンを語ってくれました。
地域活性化はどの世代でもテーマのようです。
学ぶところばかりです。
最後の展示会ということで各所よりご来客があり、「ええ!」と驚くような場面にも遭遇。
やっぱり、本気でやってきた人のところには人が集まりますね。
今まで陽の目を見なかった作品など、ぼくにとっては想像もつかないほどあるんだろうと思います。
でも、好きで本気でやってきたという説得力。
最後にどの業界、時代でも必要じゃないのかなとぼく自身思う言葉をいただきました。
やりたいことや好きな事、なりたい自分は目指せばなれる!
ただし、ユーモアと真剣さは持っておかないとね。
木を曲げて、丸めて、畳んで。
まさに作品が上の言葉を表しているよう。
最後にこちらの作品を購入。
イラストは奥さんだそう。
訪ねると、照れながらスルーされましたが軽い相槌。
見た瞬間に即決で購入させていただきました。
背板は、日光の杉。
ぼくもこんな言葉をさらっと書けるようなユーモアと真っ直ぐな愛のある人間になりたいです。
では、じゃばら。